‘‘ ~らしさ ‘‘ と いう表現がある。
普段の生活のなかで、職場でのディスカッションで、よく聞かれ、よく使う表現ではるが、この意味って何だろうか?

デザインの仕事のなかでこの ‘‘ ~らしさ ‘‘ というのは言ってみれば ‘くせもの ‘ ともいえる。家電らしさ、医療機器らしさ、高級っぽさ、男っぽさ、らしくない .. .等々と。
ある製品デザインの印象が多くの人にとって同様に感ずる表現・造形はデザイン創出にとって結構大切なことなのかもしれない。 しかしながら、10人いれば、10種の ‘‘ ~らしさ ‘‘ が存在する。
ある新しいデザインを目の前にしたとき、その製品がどういう種類の製品なのか、そのたたずまいから、その製品が何のために使われるものなのか、そうした印象を大事にすることを、デザイン案の展開のなかで、無意識かもしれないが、気にしてきたようだ。
この ‘‘ ~らしさ ‘‘ って ???

ある種の製品の印象からその機器の役割、機能が伝えられるか?、また、その印象はその機器のブランドの印象をかもし出しているか? そうした配慮はデザイン制作にとっては必須の配慮ではあるが、これを厳密に議論することはそれほど多くはない。 むしろ, デザインの進捗のなかで当然の範囲なのだろう。
‘ たたずまい ‘ という言い方がある。そのものの見え方から受ける印象とも相通ずるのでは。

昨今、AI (Artificial Intelligence) 活用が話題だ。 もしかして、近いうちに「AI工業デザイン」なるシステムが登場してもおかしくない。デザイン事務所のキラーとなるかもしれない。
仮に、家電メーカー ‘A社‘ とする。先ずは、現存する ‘A社‘の全製品の写真をコンピュータに覚えこませる。次に新たにデザインする機器と競合する他社製品の写真を全て読み込む。さらにその製品概略の機能構造、初期設計の概要のCADデータを。
こうしたINPUTから、その企業の ‘‘ ~らしさ ‘‘を、その機器の ‘‘ ~らしさ ‘‘ をふまえたデザイン A案、B案、C案、D案のカラー・レンダリングが。
でも、フリーハンドの流暢なスケッチでは、時に思い付きのちょっとしたユーザーを癒すユニークなアイデアを盛り込むことができるが、はたしてAIデザイナーにできるかな?

「AI デザイン」なる時代であればこそ、必要なのが 

            クリエイティブ・ディレクター の役割りでは。