「仕事が仕事を呼ぶ。」ということを耳にしますが、まさにその通りで、ここ数年ADC社のプロジェクトで医療機器デザインの継続が。この分野で何社ものクライアント企業さまから学ばさせてもらうことがありました。そして、この分野でADC社がどんなコトの課題解決や発見、そしてどのような提案ができたのか思い出してみました。

医療関連機器のクライアントとのデザインプロジェクトをとおして、ADC社がしてきた提案に共通するコト;

  ・ 医療従事者がよりスムーズに使えるツールの提案

  ・ 操作中のヒューマンエラーが起きにくいインターフェースデザイン

  ・ 操作がより直感的で分かり易い操作画面デザイン

  ・ メンテナンス性を考慮し設計構想まで踏まえたデザイン提案

  ・ 機器の安全性、衛生面でのアイデア提案等々

こうした視点を常に大事にしながらのデザインの創造に力を注いできました。

意匠面(外観スタイルやカラーデザイン)では;

・ 信頼感、精度感、安心感、高品質感そして新規性などを可視化するコトで、

  機器が使われる環境にマッチしたプロダクツデザインを目指しました。

このような機器にふさわしい仕上がりクオリティーにより患者や医療従事者にとって安心を感じてもらうようにと。これもADC社の得意とするミッションです。

昨今の健康志向ブームであったり、インフルエンザやコロナウィルスのことなど、多くの人たちがたいへん神経質になり、話題になっている医療・健康に絡んだ解決策に対して「デザイン力がどれだけ役に立っているのだろう~」といったことが気になります。 

定期的な健康診断の診察室で、あるいは、たまに訪れる通院先の病院で。仕事ではないのに、病院内にある様々な医療機器が眼にとまってしまいます。つい仕事の眼になってしまっている自分に気づかず写メやスマホへのメモ取りが始まります。もちろん院内の技師さん看護師さんに許可をもらいますが(笑)。実は仕事の場合、現場でのヒヤリングをとるアポはとても難しいのが現実です。なので自分の場合チャンスがあると医療機器が使われている現場を記録させてもらったり、時には、機器の使い勝手や現場での課題まで聞きこんでしまうこともあります。看護師さんにお話を伺えた時などはとても得した気分になります。(笑)

ここで再度、ADC社の役割といいますか、できるコトをノートしてみました。

医療機器のデザインで、第一義的に重要視するのは、まずクライアントからご依頼いただいた 機器の存在を理解するために開発案件が医療機関でどのような位置づけといいますか役割みたいなことかを把握することがとても大切と考えます。 経験範囲になりますが、多くの医療機器は院内でインフラ整備されている中の一つの機器であり、他の機器やナースセンターともネットワーク化されているケースが多くあるわけです。また院内を多く移動する機器や設置される場合もある。そして機器の多くは衛生面維持と機器性能維持のため頻繁にメンテナンスを定期的に行う性質の機器であることも知っておく必要があります。 そして肝心な機器そのもののユーザビリティ/インターフェースデザインといったプロダクツクオリティーにかかわるところをどのようにベストなものに仕上げていくかですが、まずは医療従事者が機器に対して何を望み、何を課題としているか開発部隊の方々がどのようにこれまで分析、ヒヤリングしてきているか、そしてその資料がどこまでそろっているかが重要となります。 経験上難しいなと思いますのは、このことの情報資料をまとめている方々の多くは普段あまり周辺の機器類をユーザー視点で操作していない、またモノづくりをされないセクションの方であったりするケースがほとんどです。多くケースでは、結果は開発に必要と思われる情報がとても薄いのが実情です。そこでデザイナーがいろいろなインターフェースのケースを想像して、開発部隊へ質問攻めにすることのにより課題抽出がやっとまとまります。そしてそれらをプライオリティーやプロセス毎に分類/分析/評価などしてプロダクトの構想とデザイン行為に落とし込んでいくのです。

現場リサーチをできるチャンスがある場合には現行機器や、周辺機器の操作性、誤動作防止、インディケーターの視認性・優先順位などをヒヤリングして把握します。

例えば院内ベット周辺に置かれる機器開発の場合ですが、必ず確認するのは、患者のベッド際に設置するのが通常なのか、あるいはその都度運ばれるのか。それとその環境で看護師さんまたは医師がどのような姿勢で機器を操作することが安全かつ自然的行為なのかなどをヒヤリングします。また、その機器が患者からどう見えるのか? 患者目線は医療機器に対する印象はどのようなものか。これも患者さんが安心して医療行為を受けられるよう必要な解決すべき項目の一つです。

こうした医療行為のプロセスをよく観察、ヒヤリングすることでよりベストに近い機器のプロダクツデザインができるわけです。

医療機器デザインとは他の生活ツールのデザインと大きく違うところは、人の命にかかわるツールであることです。

教訓、開発実績からデザイナーとして言えますことは、ベストな医療機器デザインを生むのに大切なこととは。

  1. 医療現場で起きている機器類共通の課題を探り続けていくこと。

  医療開発メーカー 側としてやるべきことかと思います、機器の影響で院内イ

  ンフラ、使用プロセスに支障が起きていないか。根本的な課題抽出を継続し

  て記録する行為がシステム化しているか。

  2. 現場で機器類の使用現場を観察できることと、ユーザー(医療従事者)

  とのヒヤリングができるシステムを作っておくことです。

この2つを整えられれば、医療機器のプロダクトイノベーションを起こすことができるでしょう。

そうした努力のいくつかを.. . . .

 “さあ お次はどのメーカーでイノベーションを!”